シンプルなコテージで静けさと自然を体感
ファミリー向けコテージ
昔ながらのサマーコテージの伝統がブーム
フィンランドでは最近のサマーコテージには、子どものいる若い家族を中心に新しい流行があります。30代、40代の人たちは、子ども時代の夏とサウナのあるコテージに憧れをもっています。彼らがサマーコテージでの生活で大切にしているのは、最新の便利な設備よりも、一体感と持続可能性(サスティナビリティ)です。コストパフォーマンスに優れたサマーコテージには、必要最低限のものだけを備え、それ以外はありません。なぜなら、自然の中でくつろぐこと自体が贅沢なことだと考えているからです。
「私たちのコテージは、美しいほどにシンプルです」と語るのは、ブログ「Vihreä talo(緑の家)」を執筆しているインテリア・デザインのインフルエンサー、アンニカ・メデル=リーカネンさん。子どものころ、彼女が何度も夏を過ごした南サヴォ州の湖畔に、現在、家族と過ごすサマーコテージを建設中です。ヘルシンキのアールト大学で建築を学ぶアンニカさんは、ホンカの建築士とともにこのコテージ「Rantama(ランタマ)」を設計しました。
ランタマのインスピレーションの源は、サマーコテージの黄金期である1960年代と1970年代にありました。特にフィンランドの建築家カイヤ&ヘイッキ・シレンのミニマルなコテージや、同じくフィンランドの建築家レイマ・ピエティラが1958年のブリュッセル万博のためにデザインしたサウナに影響を受けました。「ランタマのノスタルジックな雰囲気は、サマーコテージがよりシンプルだった時代のものです。
僅かなスペースでさえも、簡易キッチンもついたリビングのために使いました。寝るスペースはとてもコンパクトで、他に何も置く場所がありません」。 外からコテージを見ると、低めの構造、緩やかに傾斜した切妻屋根、小さな窓、テラスに張り出した軒、延長されたログの交差部分に1970年代の精神が感じられます。「シレンとピエティラは、伝統的なログ建築の特徴である交差部分をうまく利用しています。近くにコテージがある場合、視覚的なカバーにもなります」。
ランタマのデザインは、環境への配慮と強い節度感に基づいています。アンニカは、建築だけでなく、コテージでの生活においても、持続可能性の重要性を強調しています。このコテージでは、現代的な利便性は電気だけです。水は汲んでこなければならないし、シャワーがないのでサウナで身体を洗います。
「私が子どもの頃、夏のコテージに行くのは簡単でした。小さなバッグをひとつ持っていくだけ。コテージにあったのは、水着、長靴、タオル、虫除けなどで、それ以上はありませんでした。」
ホンカのセールスマネージャーであるユハニ・サウッコは、このような傾向を認識しています。「30代の多くの人が、自分のルーツに戻り、コテージ生活の文化を子どもたちと共有したいと考えていることは明らかです。大きなコテージを求めないのであれば、機能性と柔軟性のあるスペースが重要です。今、私たちが目にしているのは、都会での贅沢な暮らしを捨てて、田舎に来たことを楽しんでいる人たちです。都会の生活とコテージの生活の間に大きな違いがあってもいいのです。そうすることで、自然を身近に感じることができるのです」。
*ランタマの日本バージョンはこちらから。