フィンランドの住宅デザイン、日本と違う視点が面白い
日本とフィンランド、二つの国の住宅のつくりを比較すると、興味深い違いが見えてきます。家のインテリアは、その国の文化やライフスタイルを反映しており、それぞれの国での異なるニーズや価値観が形になったもの。フィンランドの住宅を見ることで、その豊かなライフスタイルを垣間見ることができますよ!
玄関の床レベルはゼロ
日本の玄関の多くはタイル貼りで、床より一段低くなっています。一方、日本と同じく室内は靴を脱ぐ習慣のあるフィンランドですが、床の段差はない家がほとんどです。タイルの変わりにマットを敷くのも一般的。靴や上着はクローゼットに収納し、玄関空間は広々と使います。
リビングのソファは暖炉中心
日本と同様、たくさんの採光はリビングルームには特に重要です。夏の日が長いフィンランドでは、西側にリビングルームを設けて、日が暮れるまで日光を楽しむ人もいます。リビングはまた家の中で最も眺めのよい角度に作られ、窓の位置も外の景色を取り入れられるよう工夫されています。
フィンランドのリビングルームの多くには暖炉があり、ソファの配置も暖炉中心です。暗い冬の長いフィンランドでは冬の快適さがとても重要。室内のところどころにふわふわな感触のテキスタイルを置き、居心地の良さを追求します。
キッチンはインテリアの一部
最近は日本でもダイニングキッチンが一般的になってきましたが、フィンランドはキッチンとダイニングが一体化しているのが普通です。キッチンキャビネットの扉はインテリアに大きな影響を与えるため、床や壁の素材同様、重要視されます。
フィンランドではダイニングテーブルは家族の食事の場だけでなく、ゲストをもてなす場。素敵な演出をするためにテーブルは空間の中央におき、デザイン性の高いペンダントライトでアクセントをつけます。
寝室とリビングルームが直結
日本の住宅の場合、寝室とリビングダイニングは離れていることが多いでしょう。2階建てなら1階がリビングダイニング、2階が寝室といった具合です。一方、平屋建てが多いフィンランドでは寝室がリビングやキッチンの隣にあることも多々あります。この間取りなら、個室にいても家族がいつも一緒にいるような感覚になれそうです。
トイレ・浴室はつながっていてもOK
日本のトイレや水回りは機能的にできていて本当に便利です。日本ではトイレや浴室は別々の部屋になっていますが、フィンランドは必ずしも分かれていません。シャワー室、洗面とトイレが同じ空間なら本当にひろびろと使うことができます。水回りを一体化するにはきちんとした防水工事が必要ですが、この解放感を味わったらなぜ今まで樹脂製のユニットバスを使っていたのか分からなくなるでしょう。
バスタイムは日本の生活には欠かせませんが、フィンランドには浴槽の全くない家も数多くあります。その変わりにあるのはサウナ。ここが両方の国の文化の違いが最も大きいところかも知れません。日本人にとってお風呂のない生活はかなり厳しいものですよね。逆にフィンランド人からサウナを奪うこともまず不可能です。
日本とフィンランドの住宅、どちらも良いところがあると思います。日本で北欧スタイルの住宅を建てるなら、幸い両者の良いところを取り入れることができますね。
マイホームを計画中なら、自分の今までのライフスタイル、将来なりたいライフスタイルを見つめなおしてみましょう。今までの常識を疑ってみたり、視点を変えてみたりすれば、自分ならではの豊かな暮らし方が見つかるかも知れませんよ!
Text by Asako Hashimoto