フィンランドの秋、紅葉が彩る美しい季節
目次
・フィンランドの秋の風景
・フィンランドの園芸店でで人気の、紅葉する庭木たち
・ランドスケープアーキテクトからの秋の庭造りアドバイス
フィンランドでは日本に比べて早く秋が訪れます。気温がぐっと下がってくる9月中旬から10月にかけて、フィンランドの森や街は秋の色彩で美しく染まります。特にシラカバやヨーロッパカエデは、フィンランドの秋の風景に欠かせない木々で、それぞれが黄色やオレンジに色づき、街をカラフルに彩ります。
みなさんは家の庭に、紅葉を楽しめる樹木を植えていますか? フィンランドでも、日本と同じように、秋の紅葉が楽しめる庭木は人気です。今回ご紹介するのは、フィンランドの園芸店で人気の、紅葉する庭木たちです。フィンランドの秋の色をお楽しみください!
●ナナカマド
ナナカマドは、繊細なイメージで日本の風景にもマッチします。フィンランドにはナナカマドの品種が多く、葉が細いものや太いもの、実が赤、ピンク、白や黄色のものがあります。羽のようなふわっとした葉の紅葉は独特の風情があります。実は落葉後も少し残って、冬の間に鳥がついばむ様子も見られます。
●ジューンベリー
紅葉は黄色からオレンジ、そして赤です。小さな楕円形の葉がそれぞれ別の色に染まっていく姿は、まるで点描画のような美しさです。ジューンベリーは自然に株立ち樹形に育ちます。細い幹が密集して、落葉した後も存在感があります。
●オオヤマザクラ
フィンランドで観賞用の桜といったら、オオヤマザクラがあります。春のピンクの花は見ごたえがありますが、紅葉もまた見事です。やや小型の丸い樹形に大きめの葉が密集して赤く染まる様子は迫力があります。
●コゴメウツギ
日本ではあまり注目されないコゴメウツギですが、フィンランドでは公園の緑化によく使われます。切れ込みの入った細かい葉が低く伸びて地面を美しくカバーしてくれます。秋には真っ赤なカーペットのような状態となります。
●ミツバツツジ
フィンランドでは様々な花の色のミツバツツジ類があります。春は花で楽しませてくれますが、紅葉もきれいです。葉の先から紅葉していくので、緑から赤のグラデーションを楽しむことができます。大きくならない樹木で紅葉を楽しみたい場合におすすめです。
さらに、紅葉をより美しく引き立たせるいくつかの裏技をお伝えしましょう。
その1: 紅葉の背景に、大きめの針葉樹を植える。針葉樹の常緑のダークグリーンは赤の補色。つまり鮮やかな赤を手前にもってくることで、どちらの色も美しく引き立てることができます。針葉樹のやや硬くてとがった葉が、広葉樹の薄くて柔らかい葉をより印象深くしてくれます。
その2: 足元に秋の風情ただようグラウンドカバープランツを植える。樹木に下草を植えることで、より立体的に秋の風景を楽しむことができます。例えば、黄色く色が抜けていくホスタ、穂を秋風にたなびかせるパープルファウンテングラスが秋の野の演出をしてくれます。
その3: 紅葉の時期が少しずれた低木を合わせて、紅葉をより長く楽しむ。庭のあちらこちらに紅葉する樹木を植えておけば、秋が深まるにつれて紅葉の色が鮮やかになる様子や、冬枯れの枝を同時に楽しむことができます。異なる木々が織りなす色の変化は、毎日新しい発見をもたらしてくれるでしょう。
写真:フィンランドの人気モデルVista (フィンランド語で眺望)
フィンランドの紅葉から得たインスピレーションをもとに、日本の秋もぜひ満喫してみてください。紅葉の季節、自然の美しさを感じながら過ごす時間は、何ものにも代えがたい贅沢なひとときです。庭に秋を迎え入れて、季節の移ろいを楽しんでみてくださいね!
Text by Asako Hashimoro
執筆:橋本朝子
フィンランド在住でホンカ本社に勤務する一級建築士。法政大学建築学科卒業。建築設計事務所、造園設計施工会社勤務を経て、現在はフィンランドで住宅設計を手掛ける。設計のテーマは「毎日の暮らしがより楽しくなる空間づくり。」住まいは築50年以上の住宅。インテリア。ガーデンともにリノベーションを重ねて家族と住む。
2022年にフィンランドのナーンタリで開催された住宅フェアで、ホンカが出展したジャパンディモデル「ハイク」の庭をデザイン
橋本設計のモデル
ルミフイップ (LUMIHUIPPU)
ルミ・シリーズ (LUMI SERIES)
ストゥディオ (STUDIO)